成川鍼療院における嗅覚障害の良導絡治療。
治療法の基本は良導絡自律神経調整療法である。
加えて以下の治療法を行なっている。
- 基本良導絡治療として、肩こり解消治療(嗅覚障害患者は圧倒的に肩こりが多い)
頚部を中心に肩こりが大変多いので充分良導絡電気鍼療法を行なう、この時、頸髄圧と腰髄圧のバランスを保つ様、腰部の治療も必要。
- 鼻粘膜直接マイナスDC断続通電刺激
逆性石鹸消毒液綿花を鼻孔に詰める。場合によっては患者さん本人に奥まで挿入して貰う。
ノイロメータを通電治療器として使用する。
握り導子をプラス電極。
鼻孔内湿性綿花をマイナス電極とし、12V,200μA断続通電刺激を7〜10分間行う。
- 鼻周辺と、嗅脳への針刺低周波通電刺激
頭頂部から前髪際に寄った所に嗅覚の中枢・嗅脳が位置しているので、迎香周辺の反応良導点と嗅脳所在、頭皮部反応良導点に針刺低周波通電刺激を7〜10分間行なう。
- 鼻粘膜へのレーザー照射治療
鼻孔内は殆んど太陽や、人工照明に照らされて明るくなることはない。
そこで低出力ダイオード・レーザー照射器により鼻粘膜に、赤い光を照射し刺激を与える。
- 胃や腸が強まるよう、足三里を初め副交感神経優位になるよう良導絡治療を行う
嗅覚は消化器系の影響を受け易く、特に胃の粘膜と鼻粘膜は食道の粘膜、咽喉の粘膜を介して繋がっている。
嗅覚障害患者様は、一様に身体の調子で匂ったり、匂わなかったりと告げる、つまり自律神経の不安定(過敏)を治す必要がある。
- EL鍼療法の治療を加える
鼻・眼・耳・口(咽頭)は繋がっている。
EL(Eyelid)鍼法とは、昭和55年(1980)頃に「眼瞼接触摩擦鍼法」として葛西幹司、小笠原喜博氏らが早稲田医療学園、山田新一理事長の尽力と本多伝、森和、矢野忠氏他らの応援で世に紹介されたものである。
左右・上下両眼瞼・縁の皮膚に「眼瞼接触摩擦鍼」で極く微弱な接触・摩擦刺激を加える事により、上下両眼瞼、眼球内循環(眼球の充血)、眼部湿潤、涙流(清浄作用)、眼部の不快感、違和感の消失をもって適量とする刺激療法である。
この方法を加えた大きな理由として、毛様体脊髄反射(Ciliary's
Spinal
Reflex)、眼球圧迫によるアシュネル(Aschner)反射、及びホルネル(Horner)症候の出現があり自律神経系特に副交感神経への影響で消化器系の強化を期待出来るからである。
(現在はEL鍼・周辺器具は入手不能の状況である)
最近、嗅覚障害で悩む方が益々増えているようです。当時の患者さんは割りと軽症でしたが、最近来院されている方々は難治例が増えているようです。
8年間嗅覚障害だった方が2年間週に1度のハリ治療で回復した例がありますが、通院期間3ヶ月位で変化が起きないと治療を中断する患者さんが目立ちます。諦めたらそれ迄です。
ハリ治療は全身のバランスと自律神経系の調整に持って来いの方法です。養生鍼という言葉もあります。
続ける事でけっして損にはなりませんから、じっくりと治療をお続けくださるよう切望いたします。